「好きなことを仕事にする」とは?寄藤文平さん著書「デザインの仕事」を読んで

「好きなことを仕事にする」とは?寄藤文平さん著書「デザインの仕事」を読んで

久しぶりの、本の感想記事です!

先日、寄藤文平さんの著書「デザインの仕事」を読了しました。

寄藤文平さんは、JTの広告、ブックデザインなどを手がけられてきた、アートディレクター、デザイナー、イラストレーターの方です。

広告や自分が読む本の表紙で、頻繁にお名前を見かけていたので、「イラストレーターの方なんだな〜」と思い込んでいたのですが、数年前にデザイナーの方だと知り驚きました。

非常にわかりやすくメッセージ性の高いデザイン、イラストレーションを作られる方で、わたしが長年憧れている方です。

著書の内容は、寄藤さんの生い立ちから過去の仕事、未来の仕事に関してまで、多岐にわたっています。寄藤さんが語られる内容が、過去から未来に向かって、時系列にまとめられています。


イラストレーターの「個性」とは?

この本を読んで、わたしが一番グッと心に残ったのが、この言葉でした。

これまでのイラストレーターが作家性とか個性とか、「自分らしさ」みたいなものに拘泥して、現実のビジネスとしてしっかり対決してこなかったから、イラストレーターの報酬は低く、本物の個性が次から次へと消費されているじゃないかと。

本当に「自分らしく」あろうとするなら、まずは金を稼ぐしかない、金を稼ぐんだったら頭を使って「個性」でも「手法」でも何でも、手持ちのものを全部さらして、売っぱらうしかない。

まさに今、自分が「ビジネスとしてのイラストレーション」に対して抱えていたモヤモヤを、ズバリ直撃した内容でした。

また、今後デザインやクリエイターの仕事はどうなっていくのか?という将来像に関しては、こんな言葉がありました。

僕は、職業としてのデザイナーにはあまり意味がなくなっていくような気がしています。「アートディレクター」と呼ばれる職業にしても、おそらく、将来にはなくなっているのではないでしょうか。デザインはなくなりません。でも「僕はデザイナーです」と、誰かに言うことにあまり意味がなくなるというイメージです。

デザイナーであるという属性ではなく、やっていることはデザインでも何でもいいのだけれど、「何をしている誰という人間なのか」ということがむき出しになっていくような気がします。

これも今の時代にまさに起きていることで、職業の境界線が次第にぼやけていき、職と職の掛け合わせ、特技と特技の掛け合わせによって仕事を作っていく(藤原和博さんの言葉をお借りするなら、”編集力”)が求められていくのだろうと思います。

わたしも、イラストレーターだからといってイラストだけ描くのではなく、デザインや漫画、企画など自分のスキルをもって「自分は何をするのか」というところに重点を置き、仕事をしていきたいと思いました。

そのほかにも、デザイナーの仕事の変化について(プレゼン能力のウェイトが増していくこと等)や、どういう本の表紙が売れるのか、イラストでどう表現をしているのか、という仕事の実体験が紹介されていて、非常に学びの多い内容でした。

著内で紹介されていたこちらのインフォグラフィックスの本「Designing News」が、とても良さそうなので購入予定です。秀逸なインフォグラフィックスの作例が満載。

特にデザインやイラストの仕事をされている方には、非常に充実した内容だと思います。
ぜひ読んでみてください!