保育向けイラストレーションのご案内

今回は、私が5年間ほど勤務していた保育用品メーカー時代の、仕事で制作した「保育向けイラストレーション」をご紹介します!

「保育向けって何?」と疑問に思われる方も多いかと思います。
こんな感じのイラストです。

※全て「Adobe Illustrator」のパスで制作しています。

うささん、くまさん、いぬさん、ねこさんのように、動物の可愛らしい絵柄が特徴的。
幼稚園や保育園、園児向けの出版物等でよく見かけるイラストですね!


「事実に基づいた、教育的に正しい絵を描く」

私がこのイラストを制作していた時はちょうど新入社員時代だったのですが、上司や先輩に口すっぱく言われていたことがありました。

それは「道徳的に、教育的に、正しい絵を描く」ということ。

例えば、「菜の花」を描くとき。
創造性で言えば、菜の花が青になったり、形を変えることができますし、そうやって表現することは素晴らしいことです。
でも私たちがそれを表現する時、必ず正しいことを描かねばならない、というのが、保育業界の鉄則でした。

つまり、菜の花は黄色であり、葉脈は非常に細かく前面に浮き出ていて、葉のシルエットはややフワフワした形で、上になるにつれて小さくなっていく…という「事実」をしっかり調べ、その通りに描くこと。
保育のイラストは、子供たちのために描くものです。
もしかしたら、その子にとって「生まれて初めて見る”菜の花”」になるかもしれない。

その時に、菜の花がピンクだったり、葉の形が違うと、その子は事実とは違う菜の花をインプットしてしまうことになります。
それだけは絶対に避けねばならない、ということを、繰り替えし教わりました。

当時、私は「部屋名札」と言われる部屋に飾っているイラストの名札(チューリップぐみ、さくらぐみ等)も担当制作していましたので、何か草花のイラストや魚、動物を描く時は、逐一「鱗はどうなってるんだろう…」「花の葉脈って互い違いになってる?左右対象??」というところをチェックしてから、制作しました。

それから、教育的に正しいことを描くことも教わりました。
下記のイラストは「すごろくごあいさつ」という、「あいさつ」をテーマにしたボードゲーム盤面のイラストです。商品企画からデザイン、イラスト制作まで、ほぼ全てを担当しました。

当たり前なのですが、この商品の企画は、ボードゲームによって子供たちにまず「正しいあいさつ」を覚えてもらうことが目的でした。
ですので、言葉使いやあいさつのタイミング等をまず調べてから制作しました。

一般的なボードゲームでしたらシュールなネタ等を含めたり、ちょっと俗的な要素も盛り込んだ方が面白いですが、ここではそれはNGです。

このように、保育業界のイラストには独特のルールがありました。


「ものづくり」の現場と密接に関わりながらイラストを描くメリット

当時はメーカーの商品開発室に所属していましたので、会社を出ると、そこには多くの工場がありました。

木製品、プラスチック製品、縫製品、FRPなど、勤務先メーカーの商品群も非常に幅広かったため、あらゆる製品が作られている現場を頻繁に見ることができました。

印刷も、シルクスクリーン印刷、タンポ印刷など多様な印刷現場を見ることができましたし、現場で製造してくださっている同僚の話も聞くことができました。
中国内陸部まで直接出向いて、工場を見る機会も多くありました。

そのため「この商品にイラストを使う時、どうやったら現場が作りやすいだろう?」「この細さだと、シルク印刷では潰れてしまうかもしれないから、もっと太くしよう」「この角だと刃物が通らないから、もっと丸くしよう」などなど、製造工程に沿ってイラストを改変する、ということができました。

これは、メーカー勤務ならではの大きなメリットでした。


アイデアを形にするためにイラストは絶対役に立つ!

そんな風に、社内イラストレーターとしてイラスト制作をしてはいましたが、私の所属していた部署は商品企画が主な業務でしたので、いかに売れる商品アイデアを出せるか?というとことが、仕事の生命線でした。

ただ私はアイデアを出すのが昔から大好き人間でしたので、アイデア案を出しすぎて上司に怒られたり(もっと絞れとも言われました…)あちこち出かけてアイデアを探すのも大好きでしたので、非常にやりがいのある仕事でした。

そんな中で「アイデアを形にする」ために、自分のイラストやデザインが大いに役立ちましたし、今でも自分で文房具を作ったりイベント企画を寝る時にも活用しています。


 

そんな5年間で制作してきた保育イラストでしたが、ゲームからボールの絵柄、園庭に置く巨大なFRP遊具用イラストまで、幅広く制作させていただきました。

↓うしさん、ぶたさん。屋外用プランター用のイラストでした。「家畜にしたい!」という営業からの強い要望で制作したイラスト。使用色は、2色までというご指定でした。牛が難しかった…(笑)

 

こちらは、布製ボール用のイラスト。シルクスクリーン印刷で、使える色は5色まででした。12月それぞれの季節をあらわすイラストを制作しました。

こちらは、おはじきゲーム!当時は「カーリング」がブームでしたので、カーリングをイラストに取り込みました。

点数が多いため全ては掲載仕切れませんが、よろしければポートフォリオサイトも是非ご覧ください!