「できないこと」が「できること」になったら、それは武器だ。
ブログで不定期連載中のプロフィール漫画でも描いておりますが、私はもともと美術の先生になろうとしていました。
教育学部に通い、教育実習もして資格も取ったのに、途中で止めました。
色々な理由があるのですが、最もしっくりきたのは「生徒のお悩みになかなか寄り添えない」からでした。
というのも、私は「絵を描くのが好きで得意」なのですが「絵を教えるのが好きで得意」ではない、ということを痛感したからです。
この「教える」というスキルは、絵を「描く」スキルとは、全く違うものですので、作画力とは別のものとして身につける必要があります。
また、私自身が人に絵を「教える」ために、致命的に足りないことがありました。
それが「できるようになる」までの”プロセス”となる体験です。
「子供の頃から好きで得意だったこと」は教えにくい
私は現在イラストレーターをしていますが、そもそも物心ついた時から、ずっと絵が大好きで描き続けてきました。
それは「努力する」「頑張る」という意思が必要なものではなく、「描きたいから描く」という”好奇心”がエンジンとなる習慣でした。
らくがき帳さえあれば、ずっと絵を描いていました。
それは幼稚園児でも、小学生でも、大人になってからも変わらず、努力が必要なことでもなく、ひたすらワクワク楽しみながら描いていました。
つまり、私の人生には
- 絵が苦手で描けない
- 美術の授業が嫌いだ
- 絵を描き続けることができない
- どうやって絵を描くのか分からない
- 絵をどこから描いていいのか分からない
という時期がないのです。
これは私の場合の例です。
例えば皆さんにも、小さい頃から運動が好きな方、読書が好きな方、人と話すのが好きな方、字を書くのが好きな方、手芸が好きな方、料理が好きな方、映画が好きな方、プラモデルを作るのが好きな方など、小さい頃から好きなこと、夢中になってきたことがありますよね。
「そんなのない!」という方も、子供の頃から好きな食べ物ならありますよね。それを思い浮かべてみてください。
例えば、生まれてからずっと運動が大好きな方に「どうやったら運動が続きますか?」「スポーツを好きになるのって、どうやったら良いんですか?」と聞いてみたとします。
多分、答えるのは難しいのではないでしょうか。
なぜなら、その人は「自然と運動が好きになっていた」「小さい頃からスポーツを夢中でやっていた」ので、「できないこと」としての運動を経験していないからです。
つまり、教わりに来る方が知りたいこと、ぶつかる壁、気持ちに寄り添うのが、非常に難しいのです。
小さい頃からずっとトマトが好きな人に「どうやったら食べられるようになりますか?」「トマト好きになるのって、どうやったら良いんですか?」と聞いても、「いや〜ずっと好きだったからなあ…。冷やしトマトとか最高じゃない?」という答えになることと思います(笑)
私も、絵を教わりたい方が知りたいこと、例えば「どうやったら描き続けられますか?」「どうやったら上手くなりますか?」などの質問に、ウーンと唸ってしまいました。
その時に、「私は、絵を教えるための核になる“プロセス”体験を持っていないんだ!」ということに気がついたのです。
できなかったけど、できるようになった「プロセス」は宝
逆に、昔は全くできなかったのに、できるようになったこともあります。
私の場合は、こんなものが挙げられます。
- 読書(活字が大嫌いで、学生時代はほぼ読書しなかったが、年間100冊以上読むようになった。)
- 片付け(社会人10年目まで汚部屋だったが、片付けや整理が得意になった。)
- 車の運転(10年以上ペーパードライバーだったのを克服。)
- コミニュケーション(酷い人見知りで初対面の人とは絶対に会話できなかったが、今では全然平気に。)
これらに関しては、私は「できるようになりたいのに、できない人」の気持ちが、痛いほど分かります。
「どうやったら続きますか?」「好きになるのって、どうやったら良いんですか?」というご質問にもお答えできますし、どういうステップで、どんな心理状態でつまづいてしまうのかも、推測できます。参考になる本やブログ、スモールステップなどもご提案できます。
例えば、片付け。
以前のブログ記事でもご紹介しましたが、私はかつて片付けがものすごく苦手でしたので、「片付けたいのに、どうしても、何をやっても片付けられないんです!」「人を部屋に絶対入れたくないんです!」というお悩みも気持ちも、よ〜く分かります。昔の私そのままだからです。
だから「まずは、この本の冒頭だけ読んでみて下さい。」「部屋のここを観察してみて下さい。」「このブログ、のぞいてみて下さい。」などなど、自分自身が片付けできるようになるまでに効果的だったこと、良かったことを紹介できるのです。
これは、「できなかったことが、できるようになった」という実体験を持っている人しか持てない宝です。
前述のように、「気がついたら好きになってた」ようなことは教えるのが難しいですが、このような”プロセス”を持っているものは、教えやすく、生徒さんの気持ちに寄り添えるのです。
今「できないこと」が多いのはチャンス!
ですので、今もし「できないことばかりだ!」「あれもこれもできない!」とお悩みの方がいたら、それは大きなチャンスです。
もしそれが、色々な方法を試して「できるようになる」まで到達できたら、そこに至るまで実践したこと、失敗したこと、上手くいったこと、効果的だったことは、あなただけのコンテンツになります。
「できないこと」が「できること」になったら、それは武器になるのです。
私も、現在進行形で頑張っている「英会話」や「フリーランス」、「イラストレーター」に関しては、どんどんプロセスを貯めています。
失敗も損もたくさん経験していますが、それは今しか体験できない宝物です。
皆さんももし「できないこと」があったら、できない「今」の状態を観察したり、記録してみて下さい。
私も、「できるようになる」までの過程で起きるあらゆることを、これからも観察して、記録して、分析して、発信していこうと思います。