リモートワークで働く場所は、どこがベスト?
現在、新柄コロナウイルス(COVID-19)の「第2波」と呼ばれる感染拡大が、国内に広がっています。
初めの感染拡大が収まり、徐々に元の働き方に戻っていった企業も、再びリモートワークへと舵を切っています。
WHOは、COVID-19感染が収まるまでは、2〜3年かかると発表しました。
しかし今回の感染が収まったとしても、このようなパンデミックは継続的に存在します。
そして人々が世界中を行き来できるようになった今、防ぎようがない「災害」として、存在し続けます。
遅かれ早かれ、COVID-19のようなウイルスの感染対策ができない、変化に躊躇する企業は、淘汰されていくことでしょう。
まさに、時代の転換期です。
そんな時代に適応した働き方である「リモートワーク」ですが、私は、フリーランスとして独立した4年前から、実施しています。
仕事に使用する機材とネットワーク接続環境さえあれば、働く場所は自分で選択することが可能です。
そのため、オフィスを借りたり、コワーキングスペースを利用したり、店舗の一角をお借りしたり、温泉に併設されたワークスペースや、ワーケーション施設など、4年間に渡り様々な環境を試してみました。
試した結果、
1.ベースとなる拠点は自宅にする。
2.気軽に仲間が集まる場を持つ。
3.定期的に世界を移動する。
上記の条件を満たす環境が、ベストではないかと考えています。
ここからは、実際に試してみた各ワーキング環境のメリット、デメリットをご紹介します。
●自宅
最初はフリーランスなら誰もが試すであろう、「自分の家で働く」という環境です。
(メリット)
・通勤時間がゼロ
・固定費がかからない
・隙間時間に家事などもできる
・仕事道具の持ち運びなし
・家族と過ごせる
(デメリット)
・仕事とプライベートの区切りがつけにくい
・家族からの接点が多い
・仕事に集中しにくい
・人との繋がりがない
通勤時間がないので、とにかく楽ですし、お金もかかりません。
隙間時間で家事をしたり、家族と話したりもできますので、時間に関してはかなり融通が利くメリットがあります。
ですが、同じ空間で「働く(交感神経が優位)」場所と「リラックスする(副交感神経が優位)」場所が混在することになり、集中力の低下、不眠症や過労に繋がりました。
解決策としては、勤務時間を区切るよう習慣化すること、「仕事場」という部屋を完全に作ることで、リラックスする場と空間を混ぜないように気をつけることかな、と思います。
●会員制シェアオフィス
次は、静岡(地元)の駅周辺にシェアオフィスを借りて、そこで働いた場合の環境です。半年ほど過ごしてみました。
(メリット)
・仕事とプライベートの区切りをつけやすい
・仕事に集中しやすい
・仕事道具の持ち運びなし
・会員同士の繋がりができやすい
(デメリット)
・通勤時間あり
・やや電話しずらい
・固定費がかかる
自宅とは違い、仕事場とリラックするする空間をしっかりと区切ることができました。
集中しやすいですし、仕事の捗り方は大きく向上しました。
また、自分以外の人が同時に働いている、いわば会社のような空間なので、「働こう」というモチベーションにもなります。
また、仕事道具も一部置いたままにしておけますので、道具の移動もなく、楽でした。
ただし、通勤時間はかかります。特に私のような田舎在住ですと、市街地に出るまで30分以上かかりますので、往復1時間かかります。
また、オフィスは完全に壁で区切られていなかったため、自分の電話が周囲に聞こえてしまう状態です。
当然、人の電話も聞こえてきます。私が仕事をしているときに、(恐らく本当は聞いてはいけないであろう)電話内容が聞こえることもあって、個人情報保護の観点から、少々心配になりました。
電話を多用する人、会話内容を聞かせたくない人には、完全に壁で仕切られているタイプのシェアオフィスが必要ではないかと感じました。
また、自宅と比べてコストはかかります。固定費として、家賃や交通費が必要になります。
●コワーキングスペース
次は、コワーキングスペースです。
私は地元が静岡ですので、静岡市・JR静岡駅近辺のコワーキングスペース、掛川市・JR掛川駅付近のコワーキングスペース、焼津市・JR焼津駅のコワーキングスペース、浜松市郊外のコワーキングスペースを利用しました。
また、東京出張の際には、東京都駅近くのコワーキングスペースや、東京ビッグサイト付近のコワーキングスペースも利用しました。
(メリット)
・仕事とプライベートの区切りをつけやすい
・(周辺が静かであれば)仕事に集中しやすい
・ユーザー同士の繋がりができやすい(定期的に同じ場所に通う必要あり)
(デメリット)
・通勤時間あり
・非常に電話しにくい
・周辺でミーティング、話し合いなどしていると、仕事に集中しにくい
・仕事道具の持ち運びが大変
仕事とプライベートの区切りができるメリットは、シェアオフィスと同じです。シェアオフィスとの違いは「不特定多数の人がいる空間」ということです。
費用さえ払えば、会員以外の誰でも入ることができる空間ですので、毎日違う人がいます。(もちろん、場所によっては毎日利用しているユーザーの方もいますが。)
多くの人が出入りする分、面白い繋がりができます。他県から、たまたま出張してきた人もよく見かけました。
ただし、賃貸オフィスと同等のデメリットはあります。
大勢の人が出入りする分、そこかしこで会議や打ち合わせが行われていました。
特に、会員制ではなく低価格で利用できるコワーキングスペースですと、学生や、お喋りにきた主婦のような方達も多くいらっしゃいました。
この場合は、周囲から多くの会話が聞こえてきて、集中力を欠くことが多かったです。
解決策としては、利用目的を「1人で集中する仕事」ではなく、「人と出会うため」として利用すること。
また、ある程度ざわついていた方が集中できる方には、オススメの場所です。
働く場所の鍵となるのは「集中力」「人付き合い」「刺激」
以上、これまで試してきた「働く場所」をご紹介しました。
私にとって、「働く場所」の重要なポイントは
「集中力」
「人付き合い」
「刺激」
の3点でした。
●集中力
「集中力」は、非常に重要です。
同じ仕事を完了するのに、1日かかるのか、数時間で済むのかは、自分の利益を大きく変える要素です。
そしてこの「集中力」は、いとも簡単に崩れてしまうほど脆く、コントロールが難しいものなのだということを痛感します。
集中力を、自分の意志力で保つのは、至難の技です。なるべく意識して「集中力」を維持できるよう、環境を整える必要があります。
その点で、自宅やコワーキングスペースは、集中力がなかなか維持しにくい環境といえます。
これらは人が頻繁に出入りしたり、周囲で騒音や雑音、話し声がする空間ですので、集中したい時にはイヤホンなどのツールを利用するなどの工夫が必要です。
●人付き合い
そして「人付き合い」もまた、「働く場所」の重要な要素です。
リモートワークは、孤独になりやすい働き方です。
出勤時のように同僚や先輩、上司が同じ空間にいない分、人との接触が極端に少なくなります。
もちろん、それゆえのメリットもあります。
会社のように、苦手な同僚と無理に顔をあわせる必要もありませんし、上司の威圧感や緊張感もありません。
人間関係のストレスは、会社員とは比べ物にならないほど少ないでしょう。
ですがデメリットとして、孤独感が強まります。
人間はもともと、他者と共に過ごすことで、安心感を得る構造の生き物です。新型コロナウイルスの自粛期間でも大きな問題になりましたが、人と接する機会が減ると、精神面の不安感、恐怖感が増大するのです。
それを防ぐ為にも、定期的に様々な人と接し、情報を交換し、刺激をもらうことが必要です。
コワーキングスペースのような「働く場所」で、なるべく人と接する機会を作るなど、意図的に人付き合いを増やす努力も不可欠です。
もちろん今はオンラインでの交流も盛んですので、そういったチャンスを利用するのも有効です。
●刺激
「働く場所」の最後のポイントは「刺激」です。
毎日同じ場所で働き、同じ行動をとり、同じ人とばかり接していると、非常に刺激が少ない環境になります。
これは特にクリエイティブ系の仕事では、致命的なことです。自宅などでリモートワークをし続け、アイデアやインスピレーションを得ない日々が続くと、やがて内面が枯渇してしまい、仕事に悪い影響が出ます。
もちろん今の時代、ネットでいくらでも情報は得られますが、人間はそもそも視覚だけではなく五感で情報を得る生き物ですので、限界があります。
私も自宅に数ヶ月間こもっている時、驚くほど気が滅入ってしまい、仕事面でも精神面でも、かなり辛い状況になりました。
そこで人と会ったり、展示会へ出かけたり、海外へ行ってみたりと、自分で刺激を増やすうちに、やっとアイデアや仕事のモチベーションが回復しました。
リモートワークでも、いつもと違う場所、違う人、違う雰囲気の刺激を得ることが重要です。
以上を踏まえ、個人的な結論としては
1.ベースとなる拠点は自宅にする。
2.気軽に仲間が集まる場を持つ。
3.定期的に世界を移動する。
になりました。
私の場合は、
・自宅を拠点とする。
・定期的に県内外のコワーキングスペースへ行き、同業、異業の人たちと接する。
・時折旅に出て、様々な刺激を得る。
を、ベストの「働く場所」にしています。
「気軽に仲間が集まる場を持つ」に関しては、将来は静岡に自分のオフィスを作り、フリーランスの人を始め、様々な人が立ち寄れる場を作ろうと考えています。
ただ現在、地元にもリモートワーク用の様々な施設が増え続けていますので、そう行った施設を利用する方が、ベストになるかもしれません。まだまだ新型コロナウイルスの影響は広がる始めたばかりですので、当分は様子を見るつもりです。
今年、初めてリモートワークを経験された方も多いと思います。
リモートワークはまさに、時代に合った自由な働き方です。
デメリットも課題も多数ありますが、それでもこれから先の時代は、社会的にも経済的にも、リモートワークをさらに推し進める風潮になると思われます。
メリットを活かして、ぜひポスト・コロナ時代のリモートワークを楽しみたいですね!