「足し算」経営から「引き算」経営へ!やめることこそ、難しい

「足し算」経営から「引き算」経営へ!やめることこそ、難しい

2020年は、Twitterを始めとして「やめること」を増やし、「引き算」経営を始めました。

2019年は仕事に恵まれた1年でしたが、仕事の幅も量も、増やす一方だった1年でもありました。
年末に、久しぶりにしずおか創業スクールで教えていただいた岩崎邦彦氏(静岡県立大学教授)の、こちらの書籍を読み直しました。

現在は、多様化やボーダレス、成熟社会などが確率し、新しい時代となっています。
それにも関わらず、未だに経済成長期の「足し算」の経営をしている会社が、圧倒的に多いことが判明しています。

「足し算」とは、商品群をひたすら増やす、顧客ターゲット層を広げる、商品の機能を追加する、などです。

そして、そんな「足し算」をし続けることで、企業の個性が消え、専門性が低下し、会社のリソースを消耗し、従業員は離れていき、顧客も離れていく…という”負の連鎖”の例が、とても分かりやすく書かれています。

本に掲載されているのは会社の例ですが、フリーランスはいわば「小さな会社」ですので、まさに当てはまることばかりでした。


足し算してしまうのは「目の前の人参」と「隣の芝生の青さ」

「足し算」になってしまう要因は、本著でもいくつか挙げられていました。
詳しくは本著を読んでいただきたいのですが、イラストレーターとして注目したい要因は、「隣の芝生の青さ」と「目の前の人参」でした。


「Aさんがやるなら、私もやらないと…」

最近、Twitterを辞めた理由の1つに「同業者の動向に振り回されてしまう」ことがあります。

Aさんが何かを始め成功し始めると「私もやらないとダメかな?」と思い、ベテランのBさんが何かを推奨すると「そうか、私もやらなくちゃダメだな!」と思う。

こんなことを毎日のように繰り返していて、気がつけば私の「やるべきこと」は膨れ上がっていました。
「隣の芝生は青い」の通り、人の芝生が青々としているように見え、どんどんやることを「足し算」してしまったのです。


仕事もお客様も「ひたすら足していく」

さらに2019年は、受けられるお仕事は全てお受けする、というスタイルでした。

これも、まさに「足し算」です。
新しいお客様が増えれば、当然売上は増えます。
新しい分野のイラスト、新しいタッチを増やせば、それだけ分かりやすく、売上という数字だけは上がっていくのです。

本著では、これを「目の前の人参」と例えていました。
目の前の人参が欲しいがために、きちんと精査せず、仕事を受け続けていたのです。

このように、ひたすら「足し算」に猛進し続けた結果、年末には疲労で胃を壊してしまいました。
書籍を読み直して、「自分はいつの間に、こんなに足し算ばかりしていたんだろう…」と、愕然としました。


「足し算」は簡単、「引き算」は難しい!

では「引き算」をすればいい、というのが本著での結論なのですが、この「引き算」を実際にやってみると、本当に難しいのです。

単純に「やることを絞る」「仕事を断る」という話ではありません。

自分の「芝生」には、どんな長所があって、どのお客様に貢献できるのか?
どんなビジョンを叶えていくのか?

徹底的な調査や自己分析を実施し、会社の方針を考え直すという、一大プロジェクトなのです。

そして、その方針で進むという覚悟を決め、上手くいくのかどうかという不安や焦りを抱えつつ、一時的な損害を被ってでも「引き算」を実行する、ということなのです。

フリーランスなら、仕事を断ったら「次はないんじゃないか」と焦り、仕事が減れば「このままお客さんが減っていくのではないか」という不安に駆られます。

精神的なタフさと、覚悟がなければ、「引き算」はできないのです。


それでもやらなければ「いずれ破綻する」のが、引き算

勇気も胆力もいる「引き算」の経営ですが、これを実行しなければ、遅かれ早かれ事業は破綻する、という警告も、本著では書かれています。

「足し算」には、いずれ限界が訪れます。ましてやフリーランスは、自分という人間たった一人。
人一人のエネルギーにも、時間にも、限りがあります。

私自身、年始からこの「引き算」を実行していますが、とにかく不安との戦いです。
仕事を断ることも、仕事より専門的な勉強を優先させることも、不安でいっぱいです。

ですがこれをやらない限り、きっと「私」というフリーランスにも、限界がきます。
昨年は、その「限界」をまざまざと思い知る、貴重な機会だったと感じています。

今年いっぱい実行してみて、結果がどうなったかは、また改めて本ブログでご紹介できればと思います。

岩崎邦彦さんの著書は、本当に素晴らしい内容ですので、ぜひこちらの本も読んでみてください!