独立のための「スペース」を開ける

独立のための「スペース」を開ける

「パラレルキャリア」あるいは「週末起業」や「副業」「サイドビジネス」という働き方を続けるうちに、独立という選択肢が見え始める時があります。

私の場合は選択肢が見え始めた時点で、月に◯◯円以上の収入を得る、などの「独立する条件」を決めていました。
「もしこの条件をクリアできたら退社しよう!」と決めていました。

ですが、その条件を叶える前に「ああ、これはもう会社を離れなければ無理だな…」と感じ始め、予定よりも早く、そして条件をクリアしない内に、退社へと動きました。
人生って、本当に予定通りには動けないものなんだな〜と思います…。

今回は、そのことについて書きたいと思います。


「全部やる!」ができなくなったとき

私の場合は正社員でしたので、動けるのは平日の夜と土日のみ。
しかも残業があるので、残業でヘトヘトになってから更に働くという生活が、2年ほど続いていました。

チャンスには本当に恵まれていましたので、最初から大きなお仕事をいただくことができました。
その反面、時間や体力が限られた状況に対して「もっともっと描きたいのに、何で私はこんなに疲れてるんだろう」「もっと時間と体力があったら…」と、何度も何度も悔しい気持ちでいっぱいになっていました。
あまりに悔しすぎて、自分で頭を壁にガンゴンぶつけるほど、この時期は追い詰められていました…(汗)

会社員の仕事は、当然しっかり務めなければならない。
でもイラストの仕事の方が「もっとやりたいこと」でしたので、会社での仕事にばかり時間や体力が使われていることに、次第に不満が募り始めました。


マネジメントしても「無理なものは、無理!」

それでもしばらくは大好きな手帳を使って、時間をやりくりしながら、何とかパラレルキャリア生活を続けていました。

ですが徐々に目眩が起きたり、ちょっとしたトラブルでパニックになってしまうことが増えてきて、「ああ、全部をやることは無理なんだ」ということに、やっと気がつきました。

いくらマネジメントしても、人間の時間も体力も限りがあります。

振り返れば当たり前のことなのですが、当時は「全部やりたい!」という欲求の方が強すぎて「とにかくやるんだ!」としか考えられなくなっていました。


手放さないのは「損したくない」から

そんな生活を続けていましたが、いよいよ「正社員を辞める」など、働き方を根本的に変えなければ立ち行かない、という状況になってきました。

しかし、どうしてもそこから先へは進めません。
変化を拒んでいた原因は、「損したくない」という恐怖でした。

自分のやりたいことはハッキリしているのに
「でも正社員のお給料が無くなったら、すっごい損だなあ」
「お金がなくなったら、今の生活ができなくなっちゃう」
「年金も健康保険も変わるし、将来困りそう」
という不安が、次から次へと湧いてきて、「何とか今の安定した生活を維持したい!」と思っていました。

イラストを思い切り描きたい!と強く思ってアクセルを踏んでいるのに、それによって起きる「自分に不利なこと」は起きて欲しくない!とブレーキも踏んでいる、という状況でした。

前になかなか進めずモヤモヤしていた頃、プレゼントでいただいたkeikoさんの著書で

「”もったいない”と思うものを手放さないと、スペースが空かない」

という言葉を読み、ハッとしました。

そうか!スペースが空かないんだから、そりゃあいくら「もっと描きたい!」と思っていたって、時間も体力もチャンスも、入ってこないよなあ…。

ということに気づき、やっと重い腰を上げ、独立に向けて動き始めました。


本当に欲しいもののために出す”勇気”

そこから1ヶ月ほどで、怒涛のように退社へ進んで行ったのですが、なぜか覚悟を決めた途端に色々なチャンスやご縁をいただくことが増えました。

あれだけ悩んでいたのはなんだったんだ!と感じるほどです。

私の場合は、このように2つの仕事を続けることに”限界”を感じたことが、独立のスタートラインでした。

仕事のスキルを身につけることはいくらでも出来ましたが、今持っているものを「手放す」というのは、あれこれ行動することよりもずっと強い勇気と覚悟が必要で、数日や数ヶ月でできるものではありませんでした。

私の場合は、数年がかりで何とか今に至りました…。
そして今でも「どうしよう〜どうしよう〜」と怖がる気持ちや不安が、湯水のように湧いてきます。

でもこういうネガティブな気持ちは誰でもあって、そこで勇気を出してアクセルを踏み込めるかどうか、ということろが、人生の分かれ道なのだと思います。

勇気が足りなければ、私は今もモヤモヤしながら会社員を続けていたと思います。
これから先も「やっぱこわい〜無理〜!」と言いだして、進路をゴロッと変えるかもしれませんし…(笑)

それでも、自分で散々考え、悩み、覚悟を決めて動けた体験を得たことで、以前よりもずっと「大丈夫!」と思えるようになりました。

これから先も色々なことが起きると予想されますが、「損すること」も受け入れながら、自分のやりたいことに向かって、コツコツ進んでいきたいと思います。