「フリー〈無料〉からお金を生み出す新戦略」

米国の編集長であり、CEOでもある
クリス・アンダーソン氏の著書
「フリー〈無料〉からお金を生み出す新戦略」
読みました。

今日、私たちが使用するサービスには
Googleの検索サービス、Skypeの電話サービス、
LINEのメールサービスなど
無料のものが多く存在しています。

それらは一体どのような仕組みで
儲かっているのか?
それは私たち人間の行動、
経済的インセンティブにどのような
変化を与えるのか?という内容が
詳しく書かれています。

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フリーの誕生

1902年、ジェネシー・ピュア・フード社は
自社製品の食品用ゼラチンを販売するため
無料のレシピ本を無料で家庭に配布しました。

すると、「どうやって使ったらいいのか分からない」
という原因で売れなかったゼラチンが、大ヒット!

これにより
「あるものをタダであげることで、別の需要を作り出す」
という、20世紀で最も強力なマーケティング
「フリー」が誕生します。


フリーは「内部相互補助」で成り立つ

内部相互補助とは、
・有料商品で、無料商品をカバーする
・将来の支払いで、現在の無料をカバーする
・有料利用者が無料利用者をカバーする

というものです。

内部相互補助には
下記のビジネスモデルがあります。

直接的内部相互補助
無料のもので消費者の気を引き
ほかの有料のものも買ってみようと思わせるもの。

三間者市場
コンテンツ、サービス、ソフトウェアなどを
無料として、市場を作ります。
そこに第三者が参加するために、費用を負担します。
メディアの大半はこれにあたります。

フリーミアム
基本版を無料にし、プレミアム版を有料にするというもの。
Flickrなどがこれに当たります。

非貨幣市場
対価を期待せずに、人がものをあげることによるもの。
贈与経済(ウィキペディアなど)
無償の労働(スパムボット、diggなど)
不正コピーなど。


グーグルが狙う「ビールに対するピーナッツ」

検索、ニュース、メールを始め
数多くの無料サービスを
提供しているグーグル社。

フリーといえばグーグルを
イメージする方も多いと思います。

その無料サービスの目的は
すべてのユーザーを
グーグルに関わらせること」です。

これは「補完材」と呼ばれ
インターネットの使い方を広げることにより
オンラインにより多くの時間を費やすように
なることを目的としています。

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他のモノやサービスと一緒に利用される、
いわば「ビールに対するピーナッツ」のようなものです。

商品と補完材は、しっかりと繋がっていて
同時に売れる消費行動に繋がります。

つまりグーグルは、無料によって
多くのユーザーを獲得できれば
最後には収益化につながる、という目的で
各サービスを展開しているのです。


固定料金制とは、「限界価格」である。

最近よく見かける固定料金は
限界価格の持つ「負の心理的要素」
(料金メーターを気にしたり、
けちっていると思われるのを嫌がったりすること)を
取り除いてくれます。

これにより、消費者は
「タダで借りられる」「いくらでも使える」
という気持ちになり、気分よく
消費ができるようになります。

スポーツクラブの会費、レンタルの延滞費
これらは「会費を納めて一度も来ない客」
「たくさん借りて、なかなか返却しない客」によって
利益を得ているのです。


非貨幣経済は「無償労働」で成り立つ

非貨幣経済の1つである贈与経済は、
対価がなくとも人にモノを与える
古くからある社会慣習です。

人々が無償で何かをするのは、
ほとんどの場合、自分の中に理由が
あるからです。

それは、楽しさであったり
何かを主張したいからであったり
注目を集めたいからであったり
自分の考えを広めたいからでもあり
他にも無数の理由があります。

アマゾンのレビュー、映画感想のレビュー
ゲームプレーヤーのガイドなどがそれにあたります。

衣食住が安定した現代の世界に生きる人々は、
仕事では活かしきれない
余ったエネルギーや知識を持っています。

わたしたちは、それらを使って
自分が重要だと思う領域で
「無償労働」をすることによって
尊敬や注目や表現の機会や観客を
得ることができます。

それにより、わたしたちは給料以上の幸せを
得ることができるのです。


私たちが普段利用している
数々の無料サービスの裏には、
人の心理や欲求を巧みに操る”仕組み”が
あるんだな〜!という驚きがありました。

無料サービスの裏側が気になる方は
ぜひ読んでみてください。